コロナワクチンの接種が進み、世界的に景気が回復しています。原油価格の上昇とともに、資源国通貨であるノルウェークローネも上昇しています。
自分は5年前からノルウェークローネをFXで運用しています。ノルウェーは資源国で、対外経常収支も黒字であり、金利収入(スワップポイント)もあります。資産の分散や長期の資産形成の目的で、ノルウェークローネに魅力を感じています。
ノルウェークローネに興味があり、体験談が聞きたい人
クローネを分散・長期投資目的で保有したい人
※ノルウェークローネは、非常にマイナーな通貨で、短期売買に向きません。短期間に稼ぎたい人には他の通貨をオススメします。
自分の5年間の運用での失敗や外貨預金との比較もしているので、参考になれば嬉しいです。
少し自己紹介します。
明治大学政治経済学部経済学科卒業。「日本国債(日本円)の安全性」という卒業論文を書きました。日本政府の債務残高はGDP比で巨額ですが、国民・企業の資産を含めると対外純資産がプラスになるので、急に日本国債がデフォルトし、ハイパーインフレになる可能性は低いと考えています。日商簿記1級・税理士試験(簿記論・財務諸表論科目合格)。FX歴は10年、ノルウェークローネ歴5年。株・FXともに長期保有目的。
ノルウェー基礎情報
ご存知の通り、
位置: 北欧・スカンジナビア半島の西側
国土面積:38.6万㎢(日本と同じくらい)
人口: 532万人(日本の20分の1以下)
EU非加盟国。経済的繁栄を享受している中で、EU加盟によって得られる利益に懐疑的、時刻農業及び漁業への影響を懸念
経済
主要産業:石油・ガス生産業、電力多消費産業(アルミニウム、シリコン、化学肥料等加工産業)、水産業
名目GDP:3,988億ドル(日本5兆ドル、12分の1程度)
1人当たりGDP:7万ドル
経済成長率:1.9%
インフレ率:2.8%(2018年)
失業率:4.2%(2017年)
総貿易額:輸出1,160億ドル、輸入830億ドル(2018年)
ざっと情報を記載しましたが、外務省のノルウェー基礎データが分かりやすいです。証券会社のレポートより詳しく、最新の情報が得られると感じました。外務省のリンクを貼っておきますので、参考にしていただければ幸いです。
外務省ノルウェー基礎データ
北欧諸国・バルト3国との関係が深いですが、フィンランド・バルト3国は通貨がユーロで、独自通貨はノルウェー(クローネ)とスウェーデン(クローナ)だけです。
注意点(失敗したこと)
右肩下がりのトレンド
上記は2013年から2021年5月までのノルウェークローネのチャートです。綺麗に右肩下がりとなっています。自分は2015年頃にノルウェークローネを購入したので、未だに含み損から抜け出せていません(笑)。資源国通貨なので、原油価格の動向に大きく左右されます。
上記は2016年から2021年5月までの原油先物(商品CFD)の推移です。クローネのチャートと期間が合致はしませんが、原油との相関性の高さがうかがえます。
原油が右肩下がりである理由は、
2014~16年頃に米国のシェールオイルの生産コストの低減が急速に進み、原油の生産量が急増、世界的に原油の供給が過剰となりました。通常供給が増えれば、価格が下がり、需給が均衡しますが、サウジアラビアが原油の覇権を死守しようと供給能力を落とさなかったため、過度に価格が低迷しました。
2020年4月の原油・クローネ大暴落は、
コロナショックで突然、原油需要が消失した一方、供給減産を進められなかったためです。WTI原油先物がマイナスになるほど、原油価格が暴落しました。この時のクローネは悪夢でした。FXで証拠金維持率200%(レバレッジ12倍)で運用していましたが、暴落による損失で、日々追加で口座に入金していました。
戒め
ノルウェーの人口は20分の1で経済・通貨の規模が小さく為替変動が激しいので、口座に余裕を持っておくべきだと感じました。
売買スプレッドが高い
ノルウェークローネはマイナー通貨で扱っているFX業者も少なく、売買スプレッド(通貨を売買するときの手数料)が高いです。自分が開設しているFX業者の中で、スプレッドを比較すると以下の通りです。
※10万クローネ(120万円相当・証拠金48,000円)
GMOクリック証券(クリック365)
→1,000円
→3,000~4,500円
→1,900円
→1,900円
1万米ドル(110万円相当 証拠金44,000円)が30円程度なので、50倍以上のスプレッド(売買コスト)が必要になります。頻繁に売買すると、スプレッドコスト分損をするので、短期売買には向いていません。中長期で保有するのが良いですね。
流動性が低い
ノルウェーの人口は、日本の20分の1であり、通貨供給量が少なく、貿易など通貨実需も乏しいです。市場参加者が少ないことは、スプレッドの拡大(売買コスト高)や急落時に売れない可能性があります。俗にいうロスカット狩り(ストップ狩り)に巻き込まれることがあります。
2020年7月12日(土)4時57分、今週のFXの市場もあと3分で終了という時に、悲劇はおきました。
11.3円から10.9円まで3%下落しました。為替で3%の変動は大きいです自分は10万クローネ(110万円相当、証拠金44,000円)の買いポジションを持っていたので、一瞬で4万円分消失しました。証拠金維持率が200%程度だったので、ロスカットに巻き込まれ、朝、目を覚ますことなく(6時に市場終了)、週末を迎えました。一瞬急落し、すぐに上昇しているので、月曜日の市場開始時に買い戻しましたが、安値で買えず、4万円損が確定しました。ラスト1分で急落の谷を埋める急騰のチャートを見ると心が折れます。
では、急落で買ったら、大儲けできるのでしょうか?
難しいでしょう。急落のタイミングは滅多にありません。また、ノルウェークローネは流動性が低く、急落のタイミングでも、取引参加者が少なく、売買が成立せず、スプレッドが大幅に拡大します(株でいう板がスカスカな状態)。例えば、普段のスプレッドが0.019クローネであるものが、0.5クローネに拡大するようなことがおきます。スプレッドが拡大するので、下値で買えても旨味が少ないのです。
ノルウェークローネを長期投資する場合、FX口座を頻繁に見なくなります。流動性が低い通貨は比較的少額でも為替が大きく動くので、ヘッジファンドのストップ狩り(あくまで噂)に合わないためにも、証拠金維持率300%以上は確保すべきだと学びました。
スワップポイントの魅力
日本は外国と比べると金利が安いので、外貨を保有するとスワップポイントがもらえます。ノルウェークローネも保有することで、スワップポイントがもらえます。
政策金利の推移
上記は金利の基礎となるノルウェー中央銀行の政策金利の推移です。原油価格の低迷により、2008年以降、金利が低下しています。2020年以降もコロナショックによる景気減速懸念から、過去最低の0%で推移していますが、景気回復の兆しが出ており、利上げの可能性が見えてきました。利上げするとスワップポイントも上昇するので、クローネで運用するメリットが高まります。
スワップポイント業者比較
長期保有の場合、運用利回りはスワップポイントに大きく左右されます。業者によってスワップポイントは大きく違うので、開設しているFX業者の比較を行いました。
10万クローネ(120万円相当・証拠金48,000円)買スワップ
期間:直近1ヶ月(2021年4月19日~5月19日)
GMOクリック証券(365FX)
19円
1,700円
みんなのFX
1,700円
ヒロセ通商【LION FX】
198円
圧倒的に、LIGHTFX・みんなのFXのスワップポイントが高いですね。本当にこんなに違うのか、LIGHTFXで3月1日から2カ月半1万クローネ(12万円相当・証拠金5,280円)を運用しました。
377円のスワップポイントを獲得しました。年換算で1,720円なので、時価変動がなければ証拠金の3割程度のスワップポイントが獲得できます。10万クローネなら10倍の3,770円なので、集計した数字は、正しいことが分かります。
どの業者がオススメ?
私はずっとGMOクリック証券の365FXでノルウェークローネを運用してきましたが、最近LIGHTFXに乗り換えました。LIGHTFXの方がスプレッドは高いですが、スワップポイントが高く、長期保有によるメリットが大きいためです。現状のスワップポイント水準なら1ヶ月以上保有するなら、LIGHTFXの方が利回りが高くなります。バーナーを設置しており、クリックして飛んだサイトの中段に、新規口座開設キャンペーンがあり、申込を行うとお得に口座を開設できます。
FX業者は怪しいと感じていましたが、LIGHTFXは上場し、財務も健全なので安心感もあります。以前会社の分析をしてみました!
実は、みんなのFXもトレイダーズHDが運用しており、LIGHTFXと同様にスワップポイントが高いので、オススメです。
銀行の外貨預金を検討
FXは怖いので、銀行の外貨預金でノルウェークローネを運用するのはどうでしょうか?
新生銀行がノルウェークローネの取扱をしていたので、FXと同じ条件で検討してみました。
※10万クローネ(120万円相当・証拠金48,000円)
https://www.shinseibank.com/gaika/cam/margin_pop.html
一番安い申請プラチナで6銭ですが、外貨で預金し、円に払い戻す必要があるので、往復(円から外貨、外貨から円)12銭かかります。
10万クローネ×0.12=12,000円
FXの10倍近く、手数料がかかりますね。次に利回りを確認しましょう!
https://sre.shinseibank.com/InterestRateC/rate_list_gaika.aspx#cate3
一番高いのが1年新生プラチナ優遇後金利0.07%/年
10万クローネ×0.07%=70
70クローネ×13円=910
LIGHTFXなら20,000円近く、スワップポイントがもらえるのに、910円の利息とは・・・かなり少ないですね。
外貨預金は手数料が高く、利回りが低いので、FXで外貨を保有した方が圧倒的にメリットが大きいです。
楽天銀行にしても外貨預金はメリットが少なく、情報弱者を食い物にしている気がします。以前、計算してみたので参考にしてみてください。
感想・今後の戦略
自分が、「ノルウェークローネは安全で高利回りで素晴らしい」と伝えたいと感じた人がいるかもしれません。
しかし、5年間ノルウェークローネを運用し、感じたことは、「日本円は強い!」ということです。国際的な経済危機が起きたとき、資金は日本円に流入し、ノルウェークローネは下落した傾向にありました。日本政府の債務残高がGDP比で高く、少子高齢化で先行きが暗いとはいえ、日本の経済規模・マネーサプライ・対外純資産・経常黒字の大きさを考えると短期的な経済ショックでは、日本円が有利になっていました。クローネ一辺倒ではだめだと思いました。
また、日本政府の債務残高はGDP比で巨額で、ジンバブエのようにハイパーインフレが起きるので、安全な外貨資産を保有すべきだという人もいます。しかし、日本政府の債務は、返済できないほど膨らんでいますが、国民・企業の資産を含めると対外純資産はプラスになります。自分は、急に日本政府の債務がデフォルトし、ハイパーインフレになる可能性は低いと考えており、日本円を信頼できると考えてます。
一方、ノルウェーは、国力・対外貿易収支が黒字であり、長期的には通貨が安定すると考えています。スワップポイント(金利スワップ)もあるので、長期の資産形成や分散投資の観点から、資産の1割程度をクローネで保有しようと考えています。
これから、ノルウェークローネで運用しようとする人にアドバイスすると、
①外貨預金よりもFXの方が手数料が圧倒的に有利
②証拠金維持率は300%以上を維持(急な変動がある)
③長期投資はスワップポイントが高い業者を選ぶ
(個人的には下記LIGHTFXがオススメ)
以上、参考になったら嬉しいです。
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