ネツレン(高周波熱錬)が自己株式の取得を決定しました。
取得株式割合7.8%、総額15億円(上限)。
22年3月期の当期純利益が27億円で、配当金総額が12億円(配当性向44.5%)なので、かなり大規模な自己株式買いです。来週月曜日の株価が楽しみです。
中期経営計画・配当方針よりも踏み込んだ株主還元だと思います。同日に発表された「株主提案」が影響しているのでしょうか。調べてみました。
株主還元方針(配当方針)
ネツレンは2021年11月5日に配当政策を変更しました。配当下限DOE1.5%は自己資本に対して、1.5%配当するということで、安定配当を見込める方針です。バリュー銘柄の配当政策として非常にマッチしており、非常に魅力を感じます。※DOE=年間配当総額/自己(株主)資本
2022年2月21日の個人株主向け会社説明会資料にも、明確に記載されていました。
2022年3月期はこの方針に基づき、1株あたり30円(配当性向45%)の配当をしています。方針を上回る配当額に決定しており、増配により、株価を上昇させたい会社側の意図を感じます。
株主提案
「NORTHERN TRUST CO.(AVFC) RE NVI01」という株主から剰余金処分の株主提案がありました。配当金60円/株(配当性向100%)を提案するもので、会社側(取締役会)はこの提案に反対しています。しかし一方で、
決算発表が、5月12日
株主提案・自己株式買いのプレスリリースが5月20日
なので、株主提案が自己株式買いに大きな影響を与えたのだと感じます。配当性向100%には反対するが、株主還元(配当+自己株買い)割合100%にするから、会社提案には賛成してほしい、ということだと思います。
自己株式買いは、ROEを高めることになるし、市中の配当対象株式を減少させ、将来の配当額を引き上げる効果があります。ネツレンは安定して、収益を稼いでおり、今後も稼ぐ可能性が高いので、自己株式買いは既存株主にとって、非常にいいことだと思います。私はこの会社提案に大賛成です。
想定外だと感じた点
私はネツレンはプライム市場を選択しています。プライム市場では、流通株式時価総額が要件となっており、株価602円で時価総額246億円となっています。
プライム市場の基準・流通株式時価総額100億円を超えているから、良いじゃん
と思うかもしれません。しかし、流通株式数からは主要株主・役員・自己株式数等が控除されるので、実際は基準ギリギリなのだと思います。
自己株式は、流通株式数から引かれるので、自己株買いを行っただけでは、流通株式時価総額が減少します。自己株買いで流通株式時価総額が上昇するには、減少の影響以上に株価が上昇する必要があります。だから、ネツレンが自己株買いをする可能性は低い、と持っていました。
どれくらいの株価の上昇が必要なのでしょうか?
今回の自己株式買いで、どれくらいの株価の上昇があれば、流通株式時価総額が上昇するかざっくり計算しました。
株価602円→653円の上昇で達成。自己株買い開始前に株価が上昇していれば、買取株式数も減少するので、自己株買いによる流通株式自己総額減少のマイナス要因は少ないのだと感じました。
自己株買いにより、流通株式時価総額が引き上がる可能性が十分ある、考えを改めようと思いました。
株価・指数
602円(2022.5.20)
配当利回り(会社予想) 4.98%(05/20)
1株配当(会社予想) 30.00(2023/03)
PER(会社予想) (連)10.01倍(05/20)
PBR(実績) (連)0.40倍(05/20)
EPS(会社予想) (連)60.14(2023/03)
BPS(実績) (連)1,494.67(2022/03)
2023年3月期は、減収ながらも、着実に利益を稼ぐ計画であり、株価の低迷により、PER・PBRが非常に安く、配当利回りも5%と高配当になっています。
この状況での自己株買い、株価への影響が楽しみです。私はネツレンの株式を500株保有していますが、自己株買いの期間が1年間で、長期保有優待もあるので、しばらく様子見しようと思います。
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